施設全体が治療の場であり、施設内で行っている全ての活動が治療であるという「総合環境療法」の立場をとっています。具体的には 1.医学・心理治療 2.生活治療 3.学校教育 4.家族との治療協力 5.地域の関係機関との連携を治療の柱とし、医師、セラピスト(心理療法士)、児童指導員や保育士、教員など子どもに関わる職員全員が協力して一人ひとりの子どもの治療目標を達成できるよう、本人と家族をを支援していきます。
心理治療は、セラピストが週1回50分間、同じ時間・同じ部屋で行っています。絵を描くことやゲームなど、いろいろなものを使って心の中の不安や葛藤を表現させ、それを乗り越えていけるよう手助けします。中学生ぐらいになると、カウンセリングもよく用いられます。問題を直接解決するというより、子どもの精神的な成長や子どもを取り巻く状況の改善を一緒にじっくり待つ、という場合もあります。子どもの気持ちに寄り添っていくのが基本です。一部の子どもたちには心理治療だけでなく、症状を軽くするため薬による治療も行っています。
生活治療は保育士と児童指導員が担当します。施設にいる子どもたちのほとんどが仲間作りや集団の中でうまく適応していくことが苦手で、自分が皆から認められていないと考えていたり、自信を失っている場合もあります。このような子どもたちも、日課の中での友だちや職員とのふれあい・遊び・スポーツ・作業など、皆と一緒に行動する楽しさを通して自信を取り戻していきます。自分の殻の中に閉じこもってしまいがちな子どもには、職員が個別で関わりながら徐々に集団の中に誘います。子どものどんな小さな努力でも認め、常に「愛情の点滴」を行って励まし、自分で行動することの楽しさを引き出していくことを大切にしています。
学校教育は施設によって地域の学校、施設内の分教室・分校など様々な形態があり、教育委員会と連絡を取り合って行っています。桜学館は地元の小・中学校の分級として、学館に措置された子どもたちだけが学んでいます。一つの学級の人数が一般の学校に比べると小規模なので、集団が苦手な子どもでも教室に入っていきやすいようです。施設内の学校でも教材は地域のの小・中学校と同じものを使っています。不登校などで学習の遅れがみられる場合は教材や教え方に工夫を凝らし、それぞれの子どものレベルに合わせて学習を進めていきます。
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